RIVER

いい歳こいたゲイのどーでもいいお話です。

自分だって人間です。

人並に恋愛だってします。

 

昔の話。

 

自分からあまり人を好きになれない、というか好きなことに気づかないタイプなのですが、好きになると大変です。こじらせます。妄想します。

伝える伝えないはどうでもよくて、自分で勝手に想って「自分が好きならどうでもいい、相手が幸せならばなんだっていい」というステルス戦闘機みたいな恋が主流。ひとりPKO

 

そんな自分にも突然恋が舞い降りてきました。夜道で背後からバットで殴られるかのように。

天に召されたわけです。

 

その人は常に笑顔の天然君で、最初はただの飲み友達でした。

なんだか知らないうちに「この子は大丈夫なのか?」と心配するようになり、

気がつくと「あれ、もしかして…?」とまあ少女漫画の古典的展開に見事にハマりまして。

 

ある日ふと言われました。

 

「一緒にいると楽しいよね。付き合う人、幸せだよね。」

 

はい、確定。

単純です自分。

 

そっからもう大変。

会うときも自分の気持ち隠すのに必死。何話してるかさっぱり。自分勝手に盛り上がって自分勝手に酔って。ちょっと手が触れたりするともう目とか見れない。溢れちゃう。表面張力ギリギリ。タイトロープダンサー。

普段でも思い出し笑いとかしちゃうんですよ。カラオケ一緒に歌っても「俺の気持ちだからな?ちゃんと聴いとけよ?」とか思ったりしたんですよ。本人全く聴いてないけどそれでもよかったんですよ。

気持ち悪い。ひたすら気持ち悪い。

 

そんなこんなで想い続けて1年ぐらい。

ふと思い立って行動に出よう、と。

 

日にち決めて会う約束をして。

そのときのメールも覚えてる。ドキドキして送信ボタンが押せなくて。もう自分は西野カナ

ただ不安。楽観的な考え一切なし。どうしようどうしようどうしよう。

 

その不安は仕事によって全くムダなものに。

会えなかったんですよね。

 

残念というか安心したというか複雑な気持ちで次の日仕事をしていた自分に、神様はもののみごとに現実を叩きつけてきました。

 

「昨日たまたま会った人と、付き合おうと思う。」

 

 

 

……は?

 

はい?

 

はああああああああぁぁぁ???

 

 

 

ちょっと待ってよねえ。何て言ったのいま。

もうね、そのとき自分が喋ったこと覚えてない。「おめでとう、良かったじゃん。」とか普通に言ってた気がする。

相手に自分の気持ちを伝えたら迷惑になる。好きな人の決めたことだから祝福して送り出してあげたい。

 

でも、幸せにしてあげたかった。

自分が。この手で。

誰にも渡したくなかった。

 

 

 

やっぱりヤダ。

 

 

 

次の日。

ごはん食べに行こうって誘って。いろんな話聞いて。

話した内容も覚えてる。動揺はしてなかった。決意があったから。

 

自分の気持ちを終わらせよう。

 

帰りに駅近くのバス停に座って。

仕事帰りの人が歩いてる。ちょっと肌寒い5月の夜の空気。

この街の景色をこの子はいつも見てるんだな。そんなことを思いながら。

 

「俺は、あなたが、好きでした。」

 

小さな嘘をつきました。

「俺は、あなたが、好きです。」

これが正解です。

 

彼は本当にびっくりした顔をして。え、なに?ななななななななに?って動揺しまくって。こんなとこまで腹立つ。かわいい。

だけどきちんと向き合って答えてくれました。

 

「ごめんね。ありがとう。」

 

うん。こちらこそありがとう。

自分勝手な俺の独りよがりの我儘を終わらせてくれて。これできちんと区切りをつけて送り出せる。

幸せになってください。全力で。どうか、どうか。

 

そんな自分の感傷に浸っている舞台を突然掻き乱した一言がこちら。

 

 

 

「もっと早く言ってくれたら、付き合ってたと思うよ?」

 

 

 

切れたね。頭の中で何かが。

ぷちっ、て。

 

もうそっから修復するのに必死。

自分はずっと好きだったのにぽっと出のどこの馬の骨かも知らない輩に1日会って付き合うとは何事だ?

自分のほうが絶対好き。国1つ傾くぐらいに好き。なんなら押すぞ?核ボタン押すぞ?連打するぞ?

もうグルグルグルグル頭の中で煮詰まってる気持ちを抑えるのに必死。自衛隊総動員。サッチャーさんばりの鉄の壁を突貫工事にて建設。

でも最後に一矢。報いてやろうかと思いまして。

 

「最後に、手、つないでもいい?」

 

って言いました。

手を繋いだら引き寄せて抱きしめるつもりでした。

あげない。渡さない。こいつは俺のもんだ、って。

 

そしたらね、

 

「好きな人が悲しむから、やめとく。」

 

って。

 

 

 

この子を好きになって、よかった。

 

間違いじゃなかった。

 

 

 

独りよがりの気持ちを受け止めてくれた彼には感謝の気持ちしかないです。

自分の前に現れてくれてありがとう。自分にこんな気持ちをくれてありがとう。

彼は今もそのどこの馬の骨かも分からない輩と幸せにやっております。もうすぐ10年かな?

形は変わったけれど、今は温かく見守っていたい友達の1人として、これからもずっと仲良くして下さいと思ってます。

 

 

 

お互い、幸せになろうね。