砂の果実
神様なんか、いない。
天国なんて、どこにもない。
心の中に起こりうる事態をいくつか用意。
他人の行動を分析、パターン化。
ある程度は当てはまる。
各々のテンプレートがある。
そんなことばっかしてると、
どんどん人間嫌いになっていく。
小さい頃は酔って帰ってきた父に夜中の2時に起こされ、人生について語られた。口答えして殴られたこともある。母はそんな父の愚痴を自分に向かって惜しみなくこぼした。聞きたくないと言ってもむりやり聞かされた。
大人になって愚痴をこぼすと父と母は聞こえないフリをする。あからさまにテレビの話題を始めたり、目を逸らしたり。見えないところで顔色を伺い、ほとぼりが冷めるのを待つ。
卑怯。
「自分のしてほしいことを人にして、自分のしてほしくないことは人にもしない」
知るかそんな綺麗事。
みんな自分が大事。
してもらったことはするけど、
してもらってないことはしないよ?
全部想定内。
彼らの望むことも。
しないけど。
してもらってないもの。
子供の頃、よく嘘をついた。
いじめられて家に帰っても、
泣き顔を見せると親が悲しむからと、
笑顔を作ってから玄関を開けた。
彼らはもののみごとに嘘を信じ、
自分のことを「優しい子」と言った。
優しいって言われるの、大嫌い。
嘘ついてるのに優しいって、なに?
どうせなら、偽善者になりたい。
大いなる、揺るぎない偽善者に。